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分かりやすい?SKYACTIV-G 技術解説

投稿日:2011年03月03日

 

現在、開催中のジュネーブ・モーター・ショーでも目玉の一つとして据えられているSKYACTIV 技術ですが、SKYACTIV 技術の中でも、まずは日本でのメインと思われる SKYACTIV-G (ガソリンエンジン)についてその技術をまとめてみました。

SKYACTIV-G ガソリン・エンジン の概要

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SKYACTIV-G は、世界一の高圧縮比(この記事作成時点) “14:0” を実現した次世代高効率直噴ガソリンエンジンです。
※北米での最初のSKYACTIV-G搭載車となった 2011 MAZDA 3 では、圧縮比は 12:0 です。

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図1:燃費の改善
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図2:トルクの改善

現行のマツダ2.0Lガソリンよりも高効率化を実現し、燃費とトルクの両方を改善しています。
低燃費エンジンにありがちが、低燃費だけど加速がイマイチというような一般的にいだかれるイメージを覆すものになっています。

現状のアナウンスでは、SKYACTIV-G に加え、各種 SKYACTIV 技術により効率化を果たしたデミオは、10・15モードで 30km/L と、ホンダのフィット・ハイブリッドに迫る燃費を実現している。とアナウンスされています。

「高圧縮だと何がすごいの?」

例えば、狭い空間でガソリンを爆発させ、大きくピストンを動かしてあがれば、それだけ大きな力が効率良く取り出す事ができます。
もしこれが多少は、余裕のあるシリンダー位置でガソリンを爆発させ、同じ位置までピストンを押し戻したとしても、同じ燃料を爆発させても取り出せる力は少なくなる事がイメージできると思います。
できるだけ小さい容積で燃料を爆発させ、できるだけ大きくシリンダーを押し返してあげる(つまり圧縮比を高く)すればするほど、効率良く仕事量を取り出す事ができます。

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図3:低圧縮と高圧縮

基本的に、同量の混合気から、高い運動量を取り出すには、低圧縮エンジンより高圧縮エンジンの方が有利で、トルクも大きくなりますが、ある程度の限界を超えると、高圧縮にしてもトルクが反対に出なくなります。
これは現実の問題として、シリンダー内には残留ガスが存在しており、シリンダー内の容積をピストンで圧縮して行くと、火花を放たなくてもガソリンの混合気がシリンダー内で勝手に着火してしまい、燃焼が不安定になってしまうためです。(ノッキングが発生する)。
効率のために 圧縮比はあげたくても、ある程度限界がありました。

そのため一般のガソリン車では、圧縮比は、10~12程度がある事が一般的でした。
マツダは、これを 14まで高めても安定した燃焼を行う技術を開発し、エンジンから取り出すエネルギーの効率を高める(トルクを稼ぎ出す)事に成功しました。

これまでの常識を越える高圧縮でも以前のエンジンより、トルクを稼ぎ出し、常識的に言われていた「高圧縮は、トルクが出ない」という限界を打ち破ったとされています。

「高圧縮でもノッキングさせない技術」

ノッキングの発生する原因は、燃料と空気の混合気が、高温・高圧にさらされる事で、自動的に着火してしまう事です。ピストンが圧縮上死点(ピストンの一番高い位置)に近づくほど、シリンダー内の温度が高いほど、ノッキングが起こりやすくなります。
このノッキングを減らすために、マツダは爆発後のシリンダー内の残留ガスをできるだけ燃焼室からはき出させる事に取り組みました。
実際のエンジンでは、排気工程後もシリンダー内には温度の高い残留ガスが残ってしまっています。残留ガスが残っていると、それだけ次の圧縮工程でシリンダーを上昇させた時に、ノッキングが発生しやすくなっていたためです。
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図4:残留ガスと圧縮上氏点温度

排気システムの改良

マツダは、シリンダー内の残留ガスを低減させるために 4-2-1 排気システムというものを発表しています。

全てのシリンダーは、同じ排気管に繋がっているので、その排気は互いに干渉しあう状態にあります。
排気経路が短いと、下図に示すようにシリンダー毎に排気行程が干渉しあう部分で、排気弁を開いた直後のシリンダー(3番)からの排気圧力波が、排気弁を閉じようとしている別のシリンダー(1番)の排気行程に到達し、一度排出された排気ガスがシリンダーに押しもどされます。
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図5:4-2-1 排気システム

マツダは、排気管を長くする事で、あるシリンダーから他のシリンダーへ排気圧が到達する時間を稼ぎ、与える影響を小さくする事を実現しました。
低回転の時ほど、シリンダーの便の動きが遅いので、あるシリンダーの排気が別のシリンダーに干渉する可能性が高くなります。
排気管を長くすればするほど、低回転でも干渉を避けやすくなりますが、車に搭載するエンジンですので無限に長くするわけにはいきません。新しいシステムでは、適切な排気管の長さを選択し極低回転を除いて、ほぞ全域で残留ガスの低減を図っています。

“4-2-1” とは、4気筒のエンジンから出る排気管を4本、2本、1本へと集約していることを指しています。
図5を見てわかるとおり、排気の干渉する可能性のあるシリンダーに対しては、長い経路を取るように工夫がされており、省スペース化を実現しています。

燃焼の安定化

排気管を長くした事で新たに問題が生まれたそうです。それは、排気ガスをクリーンにする触媒までの距離が長くなり、その間に排気ガスの温度が下がってしまい、触媒を早期に活性化される事が難しくなってしまった事だそうです。
排気ガスの温度は、点火時期を遅らせる事で上げることができます。

燃焼タイミングをずらす事で、燃焼したての排気ガス、もしくは燃焼途中の排気ガスが排気管に流れる事で、排気温度があがる事が一般的に知られています。
これは、効率を多少落とした分が、熱量として排気温度を上げる。という事みたいです。
一番高い効率で、綺麗に効率良く燃焼させる事には反しますが、、、実際の動作がどうなっているかまでは、解説がなかったのですが、触媒が暖まった後は、する必用は無いと思われますし、それ以外で稼いだ効率とのバランスなのかなと。。

が、燃焼を遅らせすぎると、もちろん燃焼が不安定になります。

燃焼を安定させるため、ピストンの上面にキャビティと呼ばれる窪んだ空間を設け、さらに燃料の噴射を最適化し、プラグ周りに成層混合気を生成されるようにする事で、エンジンが不安定にならない燃焼を実現させているそうです。
また、綺麗に霧状に燃料を噴射するために、マルチホール・インジェクターも採用されています。(複数の穴を使って燃料を噴射する事で、綺麗に霧状に燃料を噴射できるインジェクター)
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図6:キャビティ
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図7:実際のピストン

低温酸化反応の活用によるトルクの増大

圧縮比が上がるとノッキングが発生、トルクが低下するのが一般的です。
ですが、ある程度圧縮比があがると、トルクの低下がおきにくくなるような「低温酸化反応」が起こる事をマツダのエンジニアは発見したそうです。

「低温酸化反応」は、ガソリンに含まれる分子内の結合が切れた時に生じる発熱反応だそうです。
発熱反応の分だけ、エンジン内の仕事が増加するため、効率向上につながります。

SKYACTIV-G では、「低温酸化反応」を有効に活用するため、中~高負荷領域の点火タイミングを、一番圧縮が大きくなる上死点より後に設定しています。
こうする事で、上死点付近から着火点までの間に生じる高圧縮による「低温酸化反応」の発熱反応を取り込み、トルクを増大につなげています。

軽量化と機械抵抗減

車に搭載すると言う目的のエンジンですので、軽量化は重要な項目です。
また、高燃費を追求するためには、慣性重量や機械抵抗を減らすことも重要です。
以下のような改善が、SKYACTIV-G では行われています。

・ピストン&ピストンピンの軽量化 (20%低減)
・コンロッド軽量化 (15%軽減)
・ピストンリング張力低減(37%低減)
・クランクシャフトメインジャーナル小型化(径 6%低減、幅 8%低減)
・ローラーフィンガーフォロアの採用(同弁系摩擦力 50%以上低減)
・電子制御機械式小型オイルポンプの採用(オイル圧送時損失約 45%低減)

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この手の技術は実際に出てくるまで、本当の所はわかりませんが、マツダファンとしては非常に楽しみな技術です。

その他のSKYACTIV技術

以下から本サイトでまとめている SKYACTIV 技術記事の一覧が参照できます。

MAZDA SKYACTIV / マツダ スカイアクティブ | Mazda Fun Community

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